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建物を建てる時に為になる話。(part 1)2021年4月15日

小田原の建築家杉山文男先生のコラム。

これから家を建てる方にはとても参考に

なると思いコラムを5回に分けて紹介いたします。

それでは第一回目のお話からどうぞ。

4月にはいりましたね。鳥のさえずりと花のほころびに呼応するかのように、寒さを耐え抜いた喜びを求めて人間も精気が起き上がりほとばしるようだ。

ですから入学式や就職もこの4月なのかもしれませんね。今年は桜の開花が早かったようで、桜の下での酒宴の楽しみが3月ですでに終えてしまった方々、いやいや、2ヶ月も楽しめるぞ飲み歩く方々、それぞれが春の喜びなのです。酒飲みは酒飲む理由をつくり、理由を作らず飲み歩くものです。私もその一人です。

今月はマイホーム作りでは必ず取り上げる床面積につてのお話です。床面積は建物計画時だけの数値ではありません。完成後、マイホームが存在するあいだ、毎年課税される固定資産税。課税の対象に組み込まれるほど大きな意味をもってくる数値なのです。そんなわけで2回にわたってのお話です。

その1:ひとつ間違えると、税金が増えるお話。

その2:毎年の税金が必ず安くなるお話。

その1:1m40センチメートルと1m50センチメートル

1) 1m40センチメートルと1m50センチメートルとは何だろう。ふたつの数値からに判ることは10センチメートルの違い。それしか読み取れませんね。何の寸法だろう。いくらなんでもメタボな主人の腹廻りは外人さんと比べてもここまで大きくないし? 身の回りの品々の寸法など計ったことはないし?

普段、生活の中で数値の認識をもって生活することはまず無いのではないでしょうか。わからなくて正解です。

私の話は住宅を中心にしたお話ですから住宅のどこかの寸法に関係していることは間違いありません。

2) 人間は物を溜め込む動物だ。昔は大きな納戸や蔵をつくり、四季折々の品々を収蔵するための空間と人が日常生活を送るための空間とに分けて生活をしてきていたようだ。必要な折り品々を生活空間に運び込み、不要になればそれを戻す習慣。物と人が住み分けていたようです。あたかも列車を人生にみたてるなら客車と貨物車を連結し歳月を走る列車。それが住宅なのですね。それが本来の住宅なのですね。このような列車こそ、マイホーム建設の主眼のひとつと言っても過言ではないようです。本来、住宅はこうあるべきだと信じるのですが。人と物の棲み分け、めぐる季節の日本人がもつ住意識への美学の一端が垣間見られていたようです。

3) 昨今、マイホーム作りでは敷地面積も少なく、資金力からしてもなかなかこのように空間を分けた住宅は作ることができなくなる方向に向いております。建物の洋風化にともない生活空間にまでも物が流れ込み、鎮座し、その間で人間が日常生活を送らせていただいているのが現実ではないでしょうか。

だれかがフーと思い付いたこと。だれが発見したのか考えついたのかわかりませんが見つけた場所が屋根裏の空いている空間となった訳。物品を保管する便法なる策を見出したわけだ。こぞって屋根裏部屋が作られた住宅が流行のように建設されるようになり、妻に頼まれたお父さんが普段担がぬ荷物をタラップを踏み外さぬよう怖々とのぼり、結局、収蔵庫が死蔵庫となりつつあるのが、これまた現実のようです。上がった二度と降りてこない。ここで荷物の収納だけならよかったものを人が住むことがはじまった。部屋の使い道を変えて使い出したこと。規制しなければと口をだしてきたのですね。

さあ~、ここらが法の出番だ。

4) 長々とした前口上でしたが、もうお判りと存じます。ふたつの数値は屋根裏の部屋の天井の高さの寸法です。

天井のこの数値によって屋根裏部屋を床面積に参入するか、それとも参入しないか。床面積分の固定資産税を徴収されるか、徴収されないかを左右するまで発展する大きな違いをもつ重要な数値となるのです。

1m40センチメートル。これは国土交通省(旧建設省)策定の建築基準法により管理され。一方、1m50センチメートル。こちらは法務省の不動産登記法(不動産取扱規則)により管理されていて、共に屋根裏部屋を床面積に算定するか管理する仕切りの重要な数値です。

5) 建築基準法は昭和25年からの法律(戦前には大正時代から市街地建築物法と言う法律はありましたが、警察が建物の許認可権限が持っていたと記憶しています。建築基準法はこの法を引き付いているわけです。法律を読んでみると意外と内容を引きついているものです。)。不動産登記法は明治時代からの法律でこちらは当初、税務署が管理していて、後、法の管轄を移管された法律だと聞いております。

床面積に関して前者の法律は押さえ込むことが主眼の取り扱い。すなわち、容積率(敷地面積に対してどの位のボリュームまでの建物がたてられるかを示し。仮に、容積率150%の土地で敷地面積が100㎡なら住宅は150㎡までの床面積の住宅を造れるよ。ということです。)等の規制数値の織り込むことで規制をかけってくる。

後者はマイホームを作ったら完成後登記所に登記して自分の公示力を得る権利書(現在の表現で「登記識別情報」といいます。)をつくれば、まずお世話になることはありません。が、先ほど書いたように昔の法の所管は税務署だ。そう、書類は登記所から、市町村に回り、都道府県へ。かくして、不動産取得税と都市計画固定資産税として、マイホーム所有者と関係が結ばれて行くわけです。

6) 床面積関しては不動産登記法が時期的に早く法制化され、いわゆる先輩格。建築基準法で不動産登記法より10センチメートル低く設定された数値です。建築基準法では1m40センチメートルを超えたら、その天井裏の部屋は階数にみなされ、床面積を算定され、2階建てが3階建て、平家建てが2階建てとなる。こわいボーダーラインの数値です。

不動産登記法では1m50センチメートルをこえたら、同様に床面積に参入するよというこわいボーダーラインの数値です。

7)このふたつの高さに関する数値が床面積に関係するのか疑問に想うことでしょう。なぜ10センチメートル差、実はどこにも書いてありません。縦割り行政の一つの考え方の現れでしょう。答えはわからないのですが。3)のところで書きまし部屋の用途の人間の住空間的使い方を阻止するために考え1m40センチメートルにしたようだ。建築基準法は面積を規制する法。現在の小学校6年生の平均身長が1m45センチ(2008年)。中学1年生で1m52センチ程度。おそらく、この条文を作成されていた当時の小学校6年生が生活できないようにするための規制を掛けたくと考えて降ります。

8) 他方の、1m50センチメートルの不動産登記法は税を徴収するのが隠れた法の行間に描かれている法文の趣旨。こちらは図解入りで説明されており。屋根裏部屋とは言わず「特殊階」と表現されていて、その解説図から本来はビル等の棟屋(ペントハウス)を念頭に置かれて法律を作られたようですが。「特殊階」が屋根裏部屋にインベーダーのように入り込んできたようで、床面積に該当したら税金よろしくお願いします。と、そして、この法は正規の手続きで建築された住宅でなくても、言ってみれば違法の住宅でも、登記してくれる法律だ。この法律は蜘蛛の巣のように屋根裏部屋で黙って待ち受けているのかもしれません。

9) くれぐれもマイホーム建設の最中に建築主ご本人が現場に足を運び、天井裏を発見して大工さんや、工務店さんに天井の高い屋根裏部屋を作ってくれなど、努々思いませんように十分計画段階で決めた屋根裏部屋の高さを厳守なさることを願っております。屋根裏部屋は本来の物品の収蔵庫としたご活用願いたいものです。